1. CDの無断複製で作曲家・穂口雄右氏がソニーの北川直樹元社長らを刑事告訴した事件、東京・麹町警察署が捜査に着手

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2016年08月18日 (木曜日)

CDの無断複製で作曲家・穂口雄右氏がソニーの北川直樹元社長らを刑事告訴した事件、東京・麹町警察署が捜査に着手

作曲家の穂口雄右氏が、キャンディーズのヒット曲で自作の 「春一番」と「夏が来た !」を無断で複製されたとして、(株)ソニー・ミュージックエンタテイメント前社長で、日本レコード協会の元会長・北川直樹氏らを刑事告訴していた事件で、東京都港区の麹町警察署が捜査に着手した模様だ。関係者によると、同署は被疑者に対して、音源資料のCD現物を提出させたとのことである。

この事件は、穂口氏が実験的に着手した著作権管理に端を発している。通常、著作権に基づく楽曲使用料(テレビ、ラジオ、カラオケなどの使用やCD制作などで発生する)の徴収と配分は、JASRAC(日本著作権協会)が代行している。

ところが穂口氏は、2012年3月、みずからが著作権をもつ楽曲のうち、「春一番」と「夏が来た !」の2曲を、JASRACの管理から外して、自分で管理することにした。JASRACも穂口氏の試みを認め、広報に努めるなど全面協力した。その甲斐あって、これら2曲の使用に際しては、穂口氏から直接承諾を得る管理方法が構築されたのである。

◇ソニーだけがルール違反

実際、NHK、フジテレビ、TBSなどの放送局、ビクター、コロンビア、エイベックなどのレコード会社は、直接に穂口氏と連絡を取り、楽曲の使用許可を得ようになった。カラオケ会社やレンタルレコード店の場合は、使用料が合意に達せず、使用を取りやめたケースもあるが、少なくとも穂口氏と直接コンタクトを取って使用手続きをするルールは遵守した。

ところがソニーだけがルールを破り、使用料も支払わずに無断でCDを複製していたのだ。

告訴状によるとソニーは2014年 10月から12月ごろまでの間に、無許可で「春一番」と「夏が来た !」を収録したCD『キャンディーズ伝説』を28枚複製。1枚1万2000円で販売した。また、同じ時期に「春一番」が収録されたCD『僕のアイドル』を500枚複製して1枚2190円で販売した。

こうした著作権の踏み倒しが発覚したのは、今年2月 だった。著作権の自己管理に限界を感じた穂口氏は、この実験的試みを断念して、2曲の著作権管理をJASRACに戻したのだが、その際にJASRACから、ソニーが無許可で「春一番」と「夏が来た !」を使っていたとの報告があったのだ。

麹町警察署が動いたことで、今後の事件の進展が注目される。