1. 東北博報堂が岩手県の複合施設でアルバイトを使って入館者数を水増し、同県大槌町の記録誌制作では他誌からパクリ

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2016年05月16日 (月曜日)

東北博報堂が岩手県の複合施設でアルバイトを使って入館者数を水増し、同県大槌町の記録誌制作では他誌からパクリ

このところ新聞の実配部数の水増し問題(「押し紙」)が再浮上して崖っぷちへ追い込まれている新聞業界だが、同じメディア業界で大手広告代理店による不正行為も次々と明るみに出ている。

岩手県盛岡市にある県の複合施設「アイーナ」の総括責任者を務めていた東北博報堂の男性社員が、入館者数を水増しして県に報告していたことが分かった。情報提供した住民によると、今年の3月22日に、NHKのローカル局がこの事件を報じた。幸いインターネット上にニュースが残っていたので、「アイーナ」に内容を確認したところ、「HNKが報じたとおりです」と答えた。

入館者数を水増した手口は、「アルバイトのスタッフら数人が入館者数をカウントしている3階の出入り口を往復」して、カウント数を増やす幼稚な手口だった。

NHKニュースの全文は次の通りである。

 盛岡市にある県の複合施設「アイーナ」で、運営を委託された指定管理者が入館者数を水増しして県に報告していたことがわかりました。

 岩手県は、不適切な行為だとして改善勧告を出すとともに、管理料を減額する措置を決めました。

 改善勧告を受けたのは、盛岡市のアイーナの運営を委託された 東北博報堂など4社でつくる指定管理者のグループです。
 
 岩手県によりますと指定管理者のグループはアイーナの入館者数を水増ししていたということで、その人数は、平成22年度から24年度と25年度を除く4年間で、 あわせて2380人にのぼるとみられています。

この水増しは、運営業務の総括責任者で東北博報堂の男性社員が指示し、アルバイトのスタッフら数人が入館者数をカウントしている3階の出入り口を往復して、 水増ししていたということです。

 男性社員は、 「施設管理に対する評価に重要だと思い、前年割れを避けたかった」 と説明しているということです。

 アイーナの入館者数は毎年、140万人台で推移し、入館者の数は評価の要件には入っていないということです。

 岩手県は、不適切な行為だとして3月14日付けで指定管理者のグループに改善勧告を出すとともに、今年度の指定管理料を188万円あまり、減額する措置を決めました。

 岩手県は、「県民の信頼を損なう行為でまことに遺憾です。改善策がきちんと実行されるよう指導監督に万全を期します」と話しています。

◇被災地でもぼったくり

東北博報堂は、昨年の12月、岩手県大槌町でも不適切な行為が発覚している。

産経新聞の報道によると、震災で大きな被害を受けた岩手県大槌町は、東北博報堂に対して大震災の記録誌編集事業を委託していた。ところが「納期の7月に内容を確認したところ、被害状況などのデータの羅列にとどまり、震災の悲惨さを伝える記録誌」のレベルには達していなかった。

さらに9月には一部の記述で、県が発行した別の記録誌からの無断コピーも発覚。大槌町は、「東北博報堂(仙台市青葉区)との契約を解除した」のである。クリエーターとしての職能レベルそのものに問題があることが分かったのだ。

記録誌は約250ページで1千部を発行する予定だった。また、そのダイジェスト版は約25ページで8千部を発行する予定だった。見積もり額は、総額で1250万円。

ちなみに大手の自費出版会社で250ページの本を1000部制作して流通させた場合、ゴーストライターの料金を含めても、250万円程度である。博報堂の1250万円が適正価格とは思えない。

◇古いデータの流用問題

さらに最近、メディア黒書が入手した資料によると、通販情報誌の制作でも、博報堂は契約内容に反して、過去のデータを流用していたことが発覚している。次の記事である。

■写真で見る博報堂によるデータの流用(パクリ)① メディア黒書が内部資料を入手

◇博報堂DYと読売広告・三菱自動車

■博報堂DYホールディングスの役員名簿

役員は18名。この中には、読売広告社の中田安則社長も含まれている。また、元最高検察庁刑事部長で、現在、三菱自動車の倫理委員会委員長を務めている松田昇氏の名前もある。三菱自動車は、最近、燃費偽装問題で日産と合併したばかりである。

◇朝日広告の公共広告・6000万円は妥当か?

■黒塗りで公開された朝日広告の公共広告、制作費だけで6000万円は妥当なのか?