1. 今日、内閣府が博報堂関連の内部資料を情報開示、浮上している3つの検証点

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2016年11月14日 (月曜日)

今日、内閣府が博報堂関連の内部資料を情報開示、浮上している3つの検証点

内閣府から14日(月)に、博報堂に関するいくつかの内部資料が開示される。これは情報公開制度に基づいた手続きで、わたしが申し立てた情報公開請求に応えるものである。

開示される資料は、2種類ある。まず第1の資料は、博報堂が内閣府に対して送付した全請求書のうち、2013年度分、2014年度分、2016年度分である。これらの請求書により、どの程度の金銭を博報堂が国に請求したかが判明する。

ちなみに既に入手している2015年度分の請求書によると、2015年度は、約20億35万円である。ただし、この数字には、テレビCMの金額は含まれていない。

第2の資料は、2015年度分の公共のテレビCM(国策のPR)の放送確認書である。放送確認書とは、テレビCMの放送状況を示す公式の書面のことである。証書の意味を持つ。ここに表示された記録を見れば、CMが放送されたか、それとも休止になったかが分かる。念を押すまでもなく、放送された場合は、放送された時間帯も書面に印字される。

◇放送確認書とは

放送確認書は、現在は、「CM10桁コード」によってコンピューター管理されている。クレジットカードや銀行口座に番号が付けられるように、テレビCMにもコードが付けられる。そのCMコードをコンピュータに入力して、テレビCMの放送状況などを正確に確認するシステムだ。

これによりクライアントは、自分がスポンサーとなったCMが契約どおりに放送されているか否かを確認できる。

コンピュータが人間を管理するこのようなシステムをテレビ業界が導入したのは、1990年代の後半に、福岡放送、北陸放送、それに静岡第一テレビで発覚したCM「間引き」事件が糸口だった。

再発を防止するために、日本民間放送連盟や日本アドバタイザーズ協会などの5団体が中心になって、CM「間引き」の防止対策を講じた結果だった。

しかし、メディア黒書で既報したように、アスカコーポレーション(以下、アスカ)と博報堂の裁判の中で、このCM10桁コードが非表示になった放送確認書が多量にあることが判明した。アスカが放映料を支払っていながら、実際には放送されていないCMが多量にある疑惑が生じたのである。

参考までに、放送局ごとのCM10桁コード非表示の件数を示しておこう。次の表である。

アスカとテレビ局の間に入っていた広告代理店・博報堂に責任があることは言うまでもない。ちなみに、CM10桁コードの非表示件数が最も多いスーパーネットワークは、博報堂DYホールディングスが株式の50%を占める衛星放送局である。博報堂そのものと言っても過言ではない。

◇3点の検証項目

わたしが内閣府に対して放送確認書の情報公開を請求したのは、アスカと博報堂の係争の中で浮上したCM間引きの疑惑が、公共のCMでも生じていないかを見極めるためである。その作業に必要なのが、放送確認書である。

もちろんCMが放送されたか、否かだけではなく、契約された放送時間帯にCMが放送されたかどうかも検証点になる。テレビの放送枠は、視聴率などによってランクがあり、放送料も異なる。視聴率が低い深夜や早朝の時間帯は、料金も安い。これらの時間帯にCMを放送して、他の放送時間帯、たとえば「ゴールデンタイム」(19時から22時)の料金を請求しても詐欺である。

本日、入手する資料については、解析したのち公表する予定だ。

ちなみに現在、問題になっているのは次の3点である。

全体の請求額が異常に多い。

テレビCMの請求額が完全に隠蔽されている。

放送確認書にCM10桁コードが表示されていないものがある可能性がある。