1. PR業務だけではない、やらせ映画から原発まで、多岐にわたる博報堂に対する疑問

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2016年10月24日 (月曜日)

PR業務だけではない、やらせ映画から原発まで、多岐にわたる博報堂に対する疑問

3・11の復興に想像以上の利権がからんでいるようだ。ひらたくいえば、東北の悲劇を逆手に取って、ビジネスを展開する一部の企業が被災地へ乗り込んだようだ。

メディア黒書で特集している博報堂も例外ではない。原発関連の情報を収集していたところ、幾つかの情報が寄せられたので紹介しておこう。

◇日本原子力協会

まず、博報堂は原発関連の事業にも関心を示しているようだ。実際、JAIF(一般社団法人 日本原子力協会)の会員名簿に博報堂の名前がある

会員社になった目的は不明だが、ひとつには、原発関係の広告営業を有利に展開しようという魂胆があるのではないか。原発と広告の関係については、元博報堂の社員・本間龍氏が著した『原発プロパガンダ』(岩波新書)に詳しい。電力会社から莫大な広告費が広告代理店に流れ、原発プロパガンダを展開している実態が、克明に記録されている。

◇やらせ映画を制作

宮城県南三陸町のラジオ局を取材して制作したドキュメンタリー映画「ガレキとラジオ」で、「やらせ」があったことを朝日新聞や日刊ゲンダイが報じている。このドキュメンタリーには、津波で娘と孫を失った女性が登場。ラジオによって生きる力を取り戻すストーリーになっているが、実際はラジオを聞く余裕などなかったことが判明したのだ。ラジオを聞いていなかったのだ。

日刊ゲンダイの記事をリンクしておこう。

■やらせ映画「ガレキとラジオ」を一喝した役所広司の気骨

◇環境省は、がれき処理の広報に15億円(2013年度)

青山貞一氏と池田みちこ氏が主宰するE-wave Tokyoで、池田みちこ一氏は、環境省は、「2012度は9億円、今年度は15億円もの税金を広告代理店(博報堂など)に流している」と報じている。

災害がれきの処理は4月中旬に至ってもまだ全体の10%も進んでいない。当初の政府のもくろみ通り広域処理が進んでいないことがその原因であると環境省は考え、いわゆる広報事業に、昨年度は9億円、今年度は15億円もの税金を広告代理店(博報堂など)に流している。

2012年3月6日、朝日・読売の二大紙に下記の見開き全面カラー広告が掲載され大きな反響を呼んだ。冒頭の写真がその広告だ。

■がれきの広域処理推進の新聞広告は不正広告と言えないか?

ちなみにこの記事には、批判的な観点から、JARO(公益社団法人 日本広告審査機構)の広告についての方針が引用されている。一見、正義派めいた文面になっているが、同審査機構の事務局長を務めているのは、皮肉なことに博報堂の井尻靖彦氏である。

  JAROは「悪い広告をなくし、正しいよい広告を育てたい」という広告界の念願で、広告主や新聞社、出版社、放送会社、広告会社それに広告制作会社など広告に関係する企業が自ら集い、昭和49年10月に誕生した民間の広告自主規制機関です。
 そして今日まで、消費者に迷惑や被害を及ぼすウソや大げさ、誤解をまねく広告を社会から無くし、良い広告を育む活動を行っています。消費者からの苦情や問い合わせをもとにJAROは公平なスタンスで広告を審査し、問題のある場合は広告主へ広告の改善を促しています。(出典)

◇記録誌編纂事業でも怠慢

さらにメディア黒書で既報した岩手県大槌町が博報堂に発注した震災の記録誌編纂事業では、業務の怠慢などを理由に契約を解除されている。

記録誌の一部に、別の記録誌からのデータ流用も発覚した。職能や仕事への取り組み姿勢そのものに問題があるのだ。それにもかかわらず、請求額は1250万円で、出版社の3倍から4倍。

■津波記録誌で「怠慢」編集 岩手県大槌町、東北博報堂との契約解除

震災関連の事件ではないが、岩手県盛岡市にある県の複合施設「アイーナ」の総括責任者を務めていた東北博報堂の男性社員が、入館者数を水増しして県に報告していた事件が2016年2月に明るみにでた。

■入館者数水増し 県の施設で管理委託グループが4年間で2380人分 /岩手 

こんなふうに見ていくと博報堂の業務の不審点は、単にPR活動に関係したものだけではなく、多岐に渡っていることが分かる。この企業は何かという疑問をいただかざるを得ない。