1. 神戸大学の教員が起こした裁判①、原告の弁護士事務所がウエブサイトで訴訟費用のリストを掲載

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2020年01月31日 (金曜日)

神戸大学の教員が起こした裁判①、原告の弁護士事務所がウエブサイトで訴訟費用のリストを掲載

訴訟の取材に新しい事件が加わった。神戸大学で2015年に起きた大学院入試問題の間接的漏洩の疑惑を報じたマイニュースジャパンの記事を、当事者である大学教員が名誉毀損で訴えた事件である。請求額は約330万円。しかし、名誉を毀損されたとされる記事の削除は求めていない。記事自体は読んでもかまわないということである。

公式の提訴日は、2019年12月24日。マイニュースジャパンの事務所に訴状が届いたのは、2020年の1月になってからだという。

事件の概要や原告についての情報は、神戸大学から必要な情報を入手したうえで、必要な情報については明らかにする。昨日、わたしは神戸大学の広報室とコンタクトを取り、内部調査に関する情報提供を求めた。担当者もそれに応じ、来週中に報告を受けることになった。

マイニュースジャパンの記事は、この内部調査の結果を受けて、関係者を取材したうえで事件を評論したものである。記事が掲載されたのは約3年前。長いブレイクを経て、突如として東京地裁へ訴状が提出されたのである。

この事件の原告代理人は、清水陽平弁護士(法律事務所アルシエン)らである。事務所のウエブサイトによると幾つかの専門分野がある。そのひとつに、「ネット中傷被害」のページを開いてみた。冒頭に次のような記述がある。

インターネット上で誹謗中傷などを受けている場合、その記事を削除したり、書き込んだ人を特定することができます。たとえば、ブラック企業であると書かれているのを発見した、何年も前の不祥事のニュースがいまだだに表示されている、住所氏名などが晒されてしまった、ネットストーカーをされて困っている、ネット炎上に巻きこまれてしまったがどのような対応を取れば分からない、このような相談を多数解決しております。

ネットによる名誉毀損や中傷は急増しているらしく、弁護士の需要は増えている。対処方法も手短に説明されている。そして次のような費用のリストが掲載されている。

削除請求:送信防止措置依頼
着手金3万円~(税別)、報酬金5万円~(税別)

削除請求:仮処分
着手金25万円~(税別)

発信者情報開示請求
着手金25万円(税別)~/仮処分1件

損害賠償請求
着手金20万円~(税別)、報酬金別途

刑事告訴
着手金15万円~(税別)、報酬金20万円~(税別)

誹謗中傷対策顧問
10万円(税別)~/月

■出典

このようなリストを見ると、ファーストフードでも注文するような感覚で、裁判を提起する風潮が広がっているのではないかと危惧する。安易に裁判を起こす温床が日本の司法界に広がり始めている予感がする。事実、横浜副流煙裁判などは、その典型で、訴権の濫用に該当する可能性が高い。

清水陽平弁護士に取材を申し込んだが、現時点では返事がない。

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改めて言うまでもなく入試問題に関する事件は、公益性が高い。不正な手段で教育機関への合否が決定される慣行が定着すると、受験生の間にますます不公平感が広がるからだ。教育自体が成り立たなくなる。