1. 長崎五島の第2種国立公園の自然破壊、住民らが当惑、「何のために海を埋め立てるのか?」

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2019年07月03日 (水曜日)

長崎五島の第2種国立公園の自然破壊、住民らが当惑、「何のために海を埋め立てるのか?」

五島市の第2種国立公園内で露骨な「公共事業」が進んでいる問題で、地元住民から、豊田通商と近畿大学の共同事業に関する新たな情報提供があった。

それによると、2015年7月に豊田通商はツナドリーム五島種苗センター(以下、種苗センター)を開所した。その前提となっている取り決めが、近畿大学と豊田通商が前年に締結した「水産養殖事業の覚書」である。それによると、両者はクロマグロの人工種苗量産化に取り組むという。

具体的には採卵したクロマグロの卵を孵化させ、「クロマグロ完全養殖サイクルにおける川上の機能を担い、2020年までには約30万尾の生産を目指」すのだという。孵化させたマグロを出荷するのだから、当然、種苗センターの直近に船が接岸できれば便利だ。しかし、稚魚を出荷は毎日行われるわけではない。

「年に1度でしょう。せいぜい数回です。そのためにわざわざ国立公園を埋め立てる必要があるでしょうか?既存の岸壁を使えばいいわけです」

住民によると、2015年の開所式には、豊田商事や近畿大学の関係者をはじめ、長崎県副知事、五島市長、漁協協同組合の関係者らが参加したという。

住民らは種苗センターの事業と連動して、第2種の国立公園に含まれる荒川地区で海の埋め立てや、防波堤や岸壁の整備が進められているのではないかと話している。

工費約40億円の公費の内訳は、次の通りである。

国:29.4億円
県: 9.4億円
市: 0.7億円

沖縄県辺野古の海埋め立ては報じられるが、五島の問題は完全に封印されている。

 

【参考記事】不信感を募らせる長崎県五島の住民ら、「豊田通商と近畿大学のための公共事業」との声も、公費40億円を投入