1. 作田学医師が法廷で藤井敦子さんを「喫煙者」と事実摘示、問診を重視、「空想の世界」と客観的な事実を混同、横浜副流煙裁判の本人尋問

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2023年02月10日 (金曜日)

作田学医師が法廷で藤井敦子さんを「喫煙者」と事実摘示、問診を重視、「空想の世界」と客観的な事実を混同、横浜副流煙裁判の本人尋問

横浜副流煙裁判の本人尋問が9日に横浜地裁で行われた。24席ある傍聴席の8割ぐらいを傍聴者が占めた。詳細については、誤報を避けるために、尋問調書が公開された後に紹介する。この記事では、特にわたしの印象に残った一件について記録しておく。

それは日本禁煙学会の作田学医師が、代理人弁護士からの質問に答えるかたちで、藤井敦子さんが喫煙者であると事実摘示したことである。しかも、原告席に着席していた藤井さんを、証人席から指さして、藤井さんが喫煙者であると断定したのである。当然、傍聴席がざわついた。その場面がわたしの脳裏に残っている。

尋問の中で被告側は、藤井さんに呼気検査を受ける意思があるかどうかを尋ねた。ここで意味する「呼気検査」が具体的に何を意味しているのか、あるいはそのような表現で被告代理人が検査を提案したのかは不明だが、おそらく藤井さんの息を調べることで、喫煙者の可能性があるかどうかを判断する検査ではないかと思う。そのための検査器を作田医師は持参していたらしい。

藤井さんは尋問の中で、即座に「受けます」、「今すぐにここでやりましょう」と答えた。しかし、被告側はその場で検査を実施しなかった。そこで藤井さんは閉廷後に、作田医師や被告弁護士らに近づき、ただちに検査を実施するように求めた。

しかし、作田医師らはそれには応じずに法廷を後にした。藤井さんは3人を追った。エレベーターの中で押し問答になった。裁判所内での検査は許可されていないので、取材者であり藤井さんの支援者でもあるわたしは、裁判所をでたところで検査するように求めた。撮影の準備もした。

しかし、3人は裁判所の玄関を出ると、立ち止まることなく立ち去った。

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作田医師が何を根拠として、藤井敦子さんを喫煙者と断言したのかは不明だが、それを立証する客観的な証拠は何もない。わたしが取材した限りでは、藤井さんは喫煙者ではない。A家にも取材を申し込んだが、断れた。自宅近辺の電磁波まで測定した。これらの作業を念入りにしてから、横浜副流煙事件についての最初の記事を書いたのである。

作田医師は尋問の中で、藤井さんから煙草の臭いがするとも断言した。次のような経緯があるようだ。

2019年7月17日に藤井さんと酒井久男さんは日本赤十字センター(東京都渋谷区)の作田医師を受診した。酒井さんは衣類の繊維に対するアレルギーがある。そこで藤井さんが付き添って日赤の作田医師を受診した。目的のひとつに作田医師の医師としての力量を確認することもあった可能性が高い。しかし、4500万円を請求された被告家族があらゆる手段で情報収集するのは当然の事である。幸か不幸か、たまたま酒井さんがアレルギーで医療措置を必要とする状態だった。

作田医師は、2019年7月17日に行った酒井さんの診察を回想して、付き添い者だった藤井さんから煙草の臭いがしたと証言した。2人(あるいは、どちらか1人)について、「胡散臭い人間」と感じたとも証言した。

尋問内容から察すると、2019年7月17日の診察が藤井さんを喫煙者であると事実摘示した根拠ではないかと思う。

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しかし、3年半前の診察で受けた印象を根拠に、法廷で藤井さんを喫煙者であると断言するのは無理がある。科学的な姿勢が欠落している。

「空想の世界」と「現実(客観的)の世界」の間には、からずギャップがある。それを埋め合わせるのが科学の力であり、「取材」である。両者を厳密に区別することが思考の基本であり、議論の大前提である。

この2つの世界の違を認識するためには、観念論の世界観と唯物論の世界観の違いを認識しておかなければ不可能だ。ところが日本では、大学でもその違いを教えないところが多いらしい。その結果、「空想の世界」を客観的な事実と混同する人が後を絶たない。

「空想の世界」と「実在の世界」、あるいは「主観」と「客観的な事実」は全く別ものなのである。必ずギャップがある。そして客観的な根拠がないことは、絶対に公言してはいけない。科学が重視するのは、後者なのである。

作田医師は、横浜副流煙裁判の元原告であるA妻の診断書にも、次のような客観的な根拠がない所見を明記している。

【引用】「1年前から団地の1階にミュージシャンが家にいてデンマーク産のコルトとインドネシアのガラムなど甘く強い香りのタバコを四六時中吸うようになり、徐々にタバコの煙に過敏になっていった(略)」

2月9日の尋問で、作田医師はこの記述がA妻の問診の結果であることを認めた。つまりA妻の話が事実であるという前提(「空想の世界」)に立ち、現地に足を運んで事実を確認することなく、「犯人」をミュージシャン(藤井敦子さんの夫)と決めつけたのである。確定的な証拠がないまま、藤井さんの夫を「犯人」と決め付けたのである。

その姿勢は、9日の尋問でも露呈した。藤井敦子さんを喫煙者であると事実摘示したのである。その意味で、日本の医療の実態を考えさせられた。わたしは、診断のいい加減さに背筋が寒くなった。

ちなみに作田医師はA娘の「代理診療」には、60分の時間を割いたと証言したが、問診の「一問一答」記録を残しておかなければ意味がない。

写真出典:裁判所のウエブサイト