1. 横浜副流煙事件、厚生局に医師法20条違反の作田医師の処分などを申し入れ

横浜・副流煙裁判に関連する記事

2020年01月17日 (金曜日)

横浜副流煙事件、厚生局に医師法20条違反の作田医師の処分などを申し入れ

横浜副流煙裁判の勝訴を受けて、藤井敦子さんと支援する会の池田(仮名)代表が、16日の午前、厚生局(東京都新宿区)を訪れ、裁判で医師法20条違反に認定された作田医師に対する処分などを求めた。筆者は、取材者として同行した。

藤井さんが求めたのは次の2点である。

1、診療報酬の返還
作田氏が原告A娘に行った本人不在の「診察」は、医師法20条違反であることが認定されたわけだから、正規の診察とは認められない。従って日赤が厚生労働省に請求したA娘の診察に関連した医療費は、返還させる方向で調整を進めること。

2、作田医師の処分
   作田医師は医師法20条に違反したわけだから、厚生省としても、何らかの処分を下すこと。藤井さんは、具体的な処分内容の要求はしなかったが、日本赤十字社・医療センターに宛てた書面では、解雇を希望している。

藤井さんに対応したのは、指導課指導第一係長の松浦氏と指導課指導第一係の濱島氏だった。2人は、「松浦」「濱島」という名前は、同じ職場で唯一の名前なので、電話などで呼び出しても混乱が生じることはなく、従って名前は明かさないとのことだった。

藤井さんは、判決文や日本禁煙学会が作成している副流煙対策に関する文書などを提出した。その中には、副流煙被害の相談先として、全国の厚生局のリストを引用した文書も存在する。また、神奈川県県警が斎藤実本部長(現、警視総監)の指示で、藤井さんに対する異常な取り調べを断行するまでの経緯を、具体的な資料(証拠)に基づいて説明した。

そのうえで回答の期限を尋ねたところ、松浦氏が、「情報は受け取るが、結果については報告しない」ことが慣例になっていると答えた。そこで黒薮が、提出した情報を処理したことを示す内部資料の有無を尋ねた。松浦氏は存在すると答えた。そこで情報公開請求でそれを開示させる旨を伝えた。黒塗りにした場合は、黒塗りのまま公表する。

松浦氏は、この案件も含めて自分自身にはものごとを決定する権限はないと説明した。つまり組織の中の一員として働いていることを公言したのである。そこで藤井さんは、

「あなた個人としては、この問題をどう思いますか」

と、尋ねた。松浦氏は質問には答えなかった。

最後にわれわれ3人は、診断書を監査する機関がどこにも存在しないことを確認した。つまり診断書は、医師の裁量ひとつでどのような内容にしても許されることになる。訴訟目的で患者の病状を客観的に記録していない嘘の診断書を書いても問題にはならないということになる。

◆◆◆
藤井さんが提出した厚生労働大臣宛ての申入書は次の通りである。

2020年1月16日
厚生労働大臣 
加藤 勝信様
 
神奈川県横浜市◆◆◆◆
藤井敦子

 私は藤井敦子と申します。私の夫はつい先日まで、同じマンションの上階に住む家族三名から、夫の煙草が原因で、重篤な化学物質過敏症などに罹患したとして、4500万円の損害賠償を請求する訴訟を起こされ係争中でした。事件番号と事件名は、横浜地方裁判所平成29年(ワ)第4952号損害賠償請求事件です。また、原告代理人は、山田義雄、山田雄太の両弁護士です。
 
 先日、この裁判の判決が横浜地裁であり、裁判所は原告の請求を全て棄却する判決を下しました。そして判決の中で、広尾・日本赤十字社医療センター「受動喫煙外来」に勤務する作田学医師が原告のために作成した診断書の作成行為が医師法第20条に違反すると認定されました。作田医師が、原告の患者を直接診察せずに診断書を作成した事実が認定されたのです。従って、作田医師が原告に対して行った診断書作成のプロセスは適正な診察と認められなかったことになります。
 
 それにもかかわらず日本赤十字社医療センターは、厚生労働省に対して診断書作成費等に要した診療報酬を請求しました。これは認められない請求となりますから、すみやかに請求の修正を申告するように同医療センターへ勧告しました。
 従って貴庁も、この請求を白紙に戻すようにお願いします。
 
 私と家族は作田学医師の書いた不正な診断書などを根拠に4500万円を請求されたために、2年間も精神的、経済的な負担を強いられました。この冤罪の原因となった診断書を裁判所が公式に断罪したいま、厚生労働省としても、作田医師と日本禁煙学会に対して、適正な処分をされるように要望します。

 医療事件に対する最近の貴庁の対応は、メディアでも問題視されています。インターネットのメディアによると、たとえば昨年、滋賀医科大付属病院の岡本圭生医師から、カルテの不正閲覧が大掛かりに行われていた問題で公益通報が行われましたが、貴庁は何の対応もされていません。千葉県がんセンターに勤務されていた志村福子医師による公益通報にも対応されませんでした。こうした怠慢ぶりは、インタネットのニュースや住民運動の情報網で知れ渡っており、多くの団体から不審の声が上がっています。今回、かりに作田医師の医師法20条違反の件で何の対応もしなければ、さらに貴庁の信用を損なうのではないかと考えます。つきましては適正な対応をしていただくように重ねてお願いいたします。
 判決文および関係資料を添付いたしますので、司法の認定事実(12頁)をご確認のうえ、今後の対応について、まずは1月中にご回答頂きますようご通知申し上げます。                                      

以上