1. 博報堂事件、テレビ北海道とテレビ愛知でも「番組休止→料金請求」が発覚、休止番組を転売の疑惑も

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2016年07月10日 (日曜日)

博報堂事件、テレビ北海道とテレビ愛知でも「番組休止→料金請求」が発覚、休止番組を転売の疑惑も

通販番組が休止になったにもかかわらず、番組企画を仲介した広告代理店の博報堂が、放送枠の主であるアスカコーペレーションに料金を請求していた事件が拡大の様相を見せている。「番組の休止→料金請求」の不正パターンは1件でないことが分かった。

東日本大震災の混乱時期の事件で、博報堂に悪意があったかどうかは分からない。悪意があったとすれば、「火事場泥棒」ということになる。

◇テレビ北海道とテレビ愛知でも

最初にこの問題が発覚した舞台は、朝日放送だった。「噂のお買い得セレクション」が休止になったにもかかわらず、博報堂から料金の請求が行われていたことが、代筆された放送確認書や請求書で発覚した。アスカコーペレーションは100万円を請求され、誤って支払った。

休止をしておきながら、当時のテレビ番組表には他社の通販番組の記載があり、明らかに他社の番組が放映されている。

その後、まったく同じ方法で、テレビ北海道とテレビ愛知でも、「番組の休止→料金請求」の不正が発覚した。

このうちテレビ北海道は、2011年3月15日と22日に放送予定だった「テレショップ」を休止にしたが、博報堂はアスカコーペレーションに対して50万円を請求した。アスカコーペレーションも言われるままに、それを支払った。

さらに3月17日に放送予定だったテレビ愛知の「サーズデープレゼント」
でも同じことが起こっている。

休止になった番組の転売先について、テレビ北海道は、「外部の者には教えられない」とコメントした。また、テレビ愛知と朝日放送からは、現時点では回答がない。

一方、博報堂は取材を拒否している。

以下は各放送局のケースを裏付ける資料である。番組の休止を通知する書面と、「御見積書」である。「御見積書」の日付が番組を放送した月の末日になっており、実質的には後日付けの請求書であることが分かる。(博報堂は、見積書と請求書を同時で出していた。)実際、アスカ側は代金を支払っている。

【裏付け資料】

■朝日放送PDF

■テレビ北海道PDF

■テレビ愛知

博報堂が請求書と同時に添付する見積書には、なぜかナンバーが振られていない。上場企業の会計監査システムではあり得ないことだ。通常は、請求書と見積書に同一のナンバーを付けて管理する。

博報堂は上場企業でありながら、このような奇妙な「請求書」を発行しているのである。アスカ社は、この問題で刑事告訴を視野に入れ、すでに警察に相談している。

また、不正な会計や経理が疑われ、国税当局も重大な関心を示している。『ZAITEN』(財界展望6月号)など、月刊誌などの報道が影響しているようだ。

◇疑惑のデパート

ちなみに、こうした不正請求が、大震災時の混乱の中で起きたミスではないかとの指摘に対して、アスカ社は、次のように反論している。

「博報堂は、震災前の時期にもアスカ本社に営業に来るたびに、店舗取材渡航費として1回180万円を超える交通費を請求するなど、ずさんな請求を繰り返していました。弊社が調べたところ、弊社に出入りしていた博報堂関係者37名が「博報堂」の名刺を使っていましたが、このうちの正社員と確認できたのは1名だけで、その他1名が地元採用の契約社員でした。やることが異常でした。弊社が番組転売の問題で警察に相談したゆえんです」