1. 100枚近いCMコード不在の放送確認書を発見、博報堂による代筆も判明、「博報堂VSアスカ」の係争

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2016年06月16日 (木曜日)

100枚近いCMコード不在の放送確認書を発見、博報堂による代筆も判明、「博報堂VSアスカ」の係争

大手広告代理店の博報堂と通販のアスカコポーレーションの係争は、両者あわせて請求額が約21億円にもなる巨額の訴訟だ。博報堂が約6億1000万円を請求し、アスカコポーレーションが15億3000万円である。

■参考記事

係争の勃発から半年が過ぎ、さらに賠償額が膨れ上がる可能性が浮上している。アスカコポーレーションは現在、博報堂を通じて契約したCMが本当に放送されたか否かの調査を進めているという。

筆者がアスカコポーレーションを取材したところ、CMの放送確認書に「CMコード」が刻印されていないものが、すでに100枚近く見つかっていることが分かった。「CMコード」は、CMが放送された証拠であり、これが刻印されていないものは、原則として放送されていないことを意味する。

ただ、CMコードがない放送確認書が多数存在する原因については、アスカコポーレーションが調査しており、現段階では原因は不明だ。

ちなみにCMコードが不在になっている放送確認書の発行元放送局は、朝日放送、テレビ大阪、福岡放送、高知報道など多数に及んでいる。

次に示すのがCMコードが不在になった放送確認書の例である。

◇博報堂による放送確認書の「代筆」が判明

さらに放送確認書の中には、博報堂が「代筆」したものが含まれていることも判明した。これに該当する放送確認書としては、たとえば朝日放送のものがある。書面の発行年月日は記されていないが、博報堂の社印が押された書面の最後に、次のような記述がある。

朝日放送は放送確認書が出力されない為、局との確認後弊社が代筆し作成致しております。

もちろんCMコードは刻印されていない。次の画像である。


◇静岡第一放送のCM間引き事件

もともとテレビ業界がCMコードを採用するようになった背景には、静岡第一放送などでCM間引き事件が発覚(1999年)したことなどがある。これを防止するために、CMが放映されると自動的にCMコードが刻印されるシステムが開発されたという。システムを運用しているのは、共通コード管理センターである。

本来、放送確認書の代筆はあり得ない。代筆では、本当にCMが放送されたかどうかを確認できない。

従ってCMコードが刻印されなかった原因が人為的な不正行為であれば、大きな問題になる。それが故意のものであれば、刑事事件にもなる。

今後の調査結果によっては、アスカコポーレーションが新たな損害賠償請求に踏み切る可能性もある。