1. 博報堂と中央省庁・内閣府との不可解な商取引、インボイスナンバーが欠落した「手作り」の請求書が内閣府だけで年間20億円分

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2018年03月13日 (火曜日)

博報堂と中央省庁・内閣府との不可解な商取引、インボイスナンバーが欠落した「手作り」の請求書が内閣府だけで年間20億円分

財務省で森友学園に関する文書が書き換えられていた事件が発覚したが、省庁における不可解な工作は、日常化している可能性が高い。この事件は、朝日新聞が報じたから、大問題になったのであるが、同程度に深刻な国家公務員の腐敗は水面下で広がっている。

2016年から17年にかけて広告代理店・博報堂と省庁(内閣府を含む)の商取引を詳しく調査したところ、筆者は不可解な事実を次々と発見した。

最も奇妙に感じたのは、省庁から博報堂へ宛てた請求書の中に、インボイスナンバーが外してあるものが多数含まれていた事実である。

◇博報堂と省庁のケース

インボイスナンバーとは、請求書に付番されている書類番号のことである。書面の整理番号である。日本国民をマイナンバーでコンピューター管理するように、請求書はインボイスナンバーでコンピューター管理される。そして通常は、見積書や納品書のナンバーとひも付きになっている。

 

コンピューターと連動した会計システムを導入している企業(大企業では全社が導入)は、インボイスナンバーを付番することで、合理的に経理作業を進めるのだ。もちろん博報堂もコンピューターと連動した会計システムを導入している。

インボイスナンバーがない請求書とは、言葉を換えれば、昔の八百屋さんなどが使っていた手書きの請求書である。コンピューターのシステムとは連動していない。

したがってあえて正常な商取引でインボイスナンバーを外す合理的な理由は存在しない。博報堂は、社内では付番していると説明したが、なぜ、社内では付番して、社外向けには、ナンバーを外した別の請求書を送付しているのか、合理的な理由は分からない。

これでは、会計監査とシステム監査が普通に出来ないのではないか?最初から、会計監査とシステム監査から外して、収入を別口座に振り込むことを意図しているのではないかと疑いたくなる。しかも、その金額は尋常ではない。

次に示すデータが、博報堂が各省庁へ請求した額のうち、インボイスナンバーが欠落しているものだ。

防衛省(陸上自衛隊):898,181,314 (2008年~2015年度)
文部科学省:88,088,355(2015年度)
復興庁:19,668,335  (2015年度)
農林水産省:2,999,160(2015年度)
環境省:1,327,847,485(2015年度)

【参考記事】インボイスナンバーを外した博報堂の請求書、環境省は15年度だけで約13億円

◇内閣府と博報堂のケース

内閣府にいたっては、さらにインボイスナンバーを外した請求書が多い。
2015年度、博報堂から内閣府に対して発行された請求書の総額は、約20億4000万円だった。そして、これらの請求書はいずれもインボイスナンバーが欠落していた。つまり昔風の手作りの請求書である。当然、本当に博報堂の正規の口座に振り込まれているのか疑惑が残るのだ。

インボイスナンバーが欠落した博報堂の請求書

上記のPDFを見えば分かるように、書面の大部分が黒塗りになっている。

これらの不可解な請求書を根拠に、わたしは昨年、弁護士を通じて、会計検査院に調査を申し立てたが、会計審査員は、内閣府は潔白との結論をだしている。本当に調査したのか疑いたくなる。

省庁では公文書の改ざんなどは、日常的に行われているのではないかと推測する。

ちなみに筆者は、2016年度に広告代理店全社が内閣府に請求した請求書の開示を、1年ほど前に申し立てたが、今だに開示されていない。開示期限は2018年の5月末になっている。一部は入手しているので、全資料を入手した後、精査する考えだ。