1. 省庁と博報堂の不自然な商取引、文科省ではウエブサイト1件の制作費が2100万円、防衛省では7年で4回ウエブサイトの再構築

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2018年01月24日 (水曜日)

省庁と博報堂の不自然な商取引、文科省ではウエブサイト1件の制作費が2100万円、防衛省では7年で4回ウエブサイトの再構築

 

防衛省で業者による水増しが発覚した。

自衛隊の航空機の計器を修理する際などに約26億円を国に水増し請求していたとして、防衛省は17日、東京航空計器(東京都町田市)に対し、水増し額の返還金や違約金など約70億円を請求したと発表した。同社は全額を即日納付した。(朝日デジタル)

こうした事件は、筆者が知る限りでは、中央省庁で少なからず発生している。2016年から17年にかけて、筆者は中央省庁と博報堂の商取引を検証したが、そこでも様々な疑惑が浮上した。

極端な例を紹介しよう。次に紹介するのは、2015年6月に文部科学省が博報堂と交わした「日本人の海外留学促進事業」で使われた費用の内訳である。

印刷・発送費:2700万円
ウェブサイトの制作:2100万円
グラフィック制作:1100万円
動画制作:400万円
ノベルティ制作:400万円
その他:600万円
事務担当者人件費:700万円

裏付け(レビューシート)

デタラメな支出の典型例として分かりやすいのは、ウエブサイトの制作に2100万円が支出された事実である。ページ数は、たったの9ページである。

通常、ウエブサイトの制作費は、法人であれば300万円程度。個人であれば、30万円から50万円である。ウェブサイトの制作として2100万円を博報堂に支払っているのは明らかにおかしい。

しかも、よく調べてみると、前年にあたる2014年度にも、文部科学省は同じプロジェクトで3件のウエブサイトを発注している。このうちの2件は、博報堂と博報堂プロダクツへの発注で、その総額は1670万円だった。

裏付け(レビューシート)  

◇「手作り」の請求書

防衛省のウエブサイトについても水増しの疑惑がある。たとえば海上自衛隊は、7年間で4回もホームページを再構築している。そして請求額は1件につき約1000万円が博報堂から請求されている。

海上自衛隊の公式ホームページには、特に機密情報はなく、それほどセキュリティーに費用をかける必要はないはずだが、なぜこんなに高額になったのか不思議だ。詳細は次の通りである。

博報堂が海上自衛隊に送付した請求書の詳細(エクセル)

ちなみに防衛省には、恐らくはワードで作成した「手作り」の請求書が存在する。通常は、会計システムの中でコンピューターから出力された請求書を使うものだが、なぜか「手作り」のものがある。以前、防衛省に理由を尋ねたが、「お答えしません」とのことだった。

 

【写真】黒塗りで公開された情報公開資料(本文とは関係ありません)