1. ロッキード事件の担当検察官は今、「天下り」が経済事件の公平な捜査・裁判をさまたげる

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2017年07月28日 (金曜日)

ロッキード事件の担当検察官は今、「天下り」が経済事件の公平な捜査・裁判をさまたげる

1976年の7月27日、東京地検特捜部は田中角栄を逮捕した。ロッキード社の航空機売込みに便宜を図った際の贈収賄容疑による逮捕だった。

田中邸へ赴いたのは、松田昇という検察官だった。松田氏は同じ事件でやはり逮捕された児玉誉士夫(元内閣参与で政界フィクサー)の取り調べも行っている。

ロッキード事件の発覚から41年。読者は、松田氏が現在、どのような地位にいるかをご存じだろうか? 結論を言えば、さまざまな企業の役員として再就職しているのだ。元検察官が特定の大企業と特別な関係を持つことが、公正に経済事件を取り締まる際の障害になる可能性が高いことはいうまでもない。

松田氏が関係している企業と役職は次の通りである。なかには不祥事を起こしている会社もある。

平成17年1月:株式会社博報堂社外監査役(現在)

平成19年4月:三菱UFJニコス株式会社社外取締役(現任)

平成24年6月:日清紡ホールディングス株式会社社外取締役(現任)

平成27年6月:当社社外取締役(現任)

平成28年3月:株式会社読売巨人軍社外取締役(現任)

裏付け

◇児玉誉士夫と博報堂

このうち、博報堂は広告代理店である。内閣府や中央省庁から国策プロパガンダの仕事を数多く請け負っている。この企業の過去を調べてみると、博報堂の持株会社が1975年に児玉誉士夫氏のグループに乗っ取られた事実がある。経緯については、次の記事に詳しい。

【参考記事】博報堂コンサルタンツの取締役に児玉誉士夫の側近・太刀川恒夫氏が就任していた、極右勢力と博報堂の関係

【参考記事】1975年ごろから博報堂へ続々と天下り、元国税庁長官2名、内閣府審議官や警察関係者も、病的腐敗の温床か?

「天下り」の問題は、昔からまったく解決されていない。放置されたままだ。最高裁判事を務めた人々までがあちこちの企業や法律事務所へ天下っている。

繰り返しになるが、こうした状況下では、天下り先企業が経済事件を起こした際、公正な捜査、公正な裁判は、形骸化しかねない。逆説的に言えば、それを知っているから、企業は天下りを受け入れている可能性が高い。

松田氏は、博報堂が内閣府へ送ったインボイスナンバーが欠落した請求書の額面総額が4年間で約64億円になっている事実をどう考えているのだろうか。文科省に対してウエブサイト1件で2100万円を請求した事実をどう考えているのだろうか。また、民間企業ともトラブルを起こしている事実をどう考えているのだろうか。

【参考記事】博報堂事件・重要記事特集

筆者は近々に松田氏に公開質問状を送付したいと考えている。