1. 筆者が請求している情報公開を内閣府が1年延期、国策プロパガンダに関する多量の資料の存在が判明

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2017年06月30日 (金曜日)

筆者が請求している情報公開を内閣府が1年延期、国策プロパガンダに関する多量の資料の存在が判明

内閣府に対して5月22日に申し立てた情報公開請求の開示が大幅に遅れる見通しとなった。内閣府が筆者に通知してきた開示期限は、なんと2018年(平成30年5月21日)である。民間企業の社員に比べて、公務員の仕事が遅いことは周知しているが、度がすぎるのではないか?

筆者は、今年(2017年)5月22日に、内閣府に対して、次のような文面で情報公開請求を行った。

2016年度(2016年4月~2017年3月)に実施した政府広報に係わる契約書、及びそれに対応する見積書と請求書の全部。見積書が存在しない場合は、契約書と請求書。

これらの資料を入手する目的は、国策のPR活動(国策プロパガンダ)にどの程度の国家予算が投入されているかを調べることである。読者もおそらく周知のように、筆者はまず博報堂が関与したPR活動について詳しく調べた。その中でインボイスナンバーを外した請求書が内閣府だけで4年間で約64億円分あることが判明した。

【参考記事】内閣府だけで4年間で約64億円、インボイスナンバーを外した博報堂の請求書

しかも、インボイスナンバーを外した請求書の存在は、文部科学省や環境省、防衛省など他の省庁でも確認された。つまり組織的で、大がかりな裏金作りが行われてきた疑惑があるのだ。

そこで筆者は、調査の第2段階として、国策プロパガンダに関与している全企業(広告代理店以外も含む)を調査対象にして、情報公開請求を行ったのである。

その結果、内閣府は開示の手続に1年を要すと通知してきたのだ。

内閣府が開示延期の法的根拠としてきたのは、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」の第11条である。

開示請求に係る行政文書が著しく大量であるため、開示請求があった日から六十日以内にそのすべてについて開示決定等をすることにより事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがある場合には、前条の規定にかかわらず、行政機関の長は、開示請求に係る行政文書のうちの相当の部分につき当該期間内に開示決定等をし、残りの行政文書については相当の期間内に開示決定等をすれば足りる。この場合において、行政機関の長は、同条第一項に規定する期間内に、開示請求者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。

一   本条を適用する旨及びその理由

二   残りの行政文書について開示決定等をする期限

内閣府は、大量の資料が存在するというのだから、おそらく莫大な金額が国策プロパガンダに投じられていることになる。

◇文部科学省は、開示命令に従わず

一方、昨年、文部科学省に対して行った情報公開請求(「日本人の海外留学促進事業」のPR活動など2点)については、情報公開・個人情報保護審査会(総務省に設置)から、文部科学省に対して開示命令が下りているが、文部科学省はそれに従っていない。

【参考記事】加計学園事件への関与が疑われている文部科学省、情報公開制度の運用にも大きな問題、審議会の命令にすみやかに従わず

国策プロパガンダに名を借りた不自然な国家予算の支出は、博報堂を対象とした調査で、多くの省庁にまたがっていることが判明したわけだから、第3者委員会を設置して調査するのが筋ではないだろうか。さもなければ延々と国家予算をドブに捨てることになりかねない。