1. 総務省の情報公開・個人情報保護審査会、文部科学省に対して黒塗りにした文書の一部公開を命じる

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2017年06月12日 (月曜日)

総務省の情報公開・個人情報保護審査会、文部科学省に対して黒塗りにした文書の一部公開を命じる

総務省の情報公開・個人情報保護審査会は、7日、文部科学省に対して、筆者が文部科学省から入手した契約書(大半が黒塗りにされて開示された)の一部を、開示すべきだとの結論を下した。

答申書の冒頭、審査会は次のように結論づけている。

 第1 審査会の結論

 別紙に掲げる文書1及び文書2(以下、併せて「本件対象文書」という。)につき、その一部を不開示とした決定については、別表2に掲げる部分を開示すべきである。

◇4カ所について開示が妥当との判断

この事件は、2016年に筆者が文部科学省に対して、2件のプロジェクトの契約書(請求書等を含む)の開示を求めたことに端を発する。2件は、「日本人の海外留学促進事業」と、「学校と地位の新たな協働体制の構築のための実証研究」である。契約相手は、いずれも博報堂である。

文部科学省は、文書の開示には応じたが、その大半を黒く塗りつぶし、明細がまったく分からない状態にしていた。次のPDFがその実物である。読者は後半のひどい実態を、自分の眼で確認してほしい。

■「日本人の海外留学促進事業」 

審査会が開示するのが妥当と結論づけたのは、次の4箇所ある。

①事業目的を記した部分(11ページ)

②実施経費の枠内の「費目」部分のすべて(37ページ)

③実施経費の枠内の「金額」部分の小計の金額すべて(37ページ)

④小計の「金額」部分に対応した「小計」という文字(37ページ)

 ②は、次の画像に示した矢印「→」の部分である。

 

◇スポンサーに事業内容を知らせない異常

審議のプロセスについては、順を追って記録されているので、次の答申書(「日本人の海外留学促進事業」)で確認してほしい。

■答申書全文

文部科学省の情報開示の方法に対して、審査会が不十分であると判断した点は評価できるが、依然として多くの肝心な情報が隠されたままであることには、かわりがない。たとえば、審査会は事業計画書の内容は、「アイデアの流用や模倣の可能性があることから、特定会社の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある」ので不開示を妥当とした。

しかし、企業活動を国民の知る権利に優先するのはおかしなことである。公共事業のスポンサーは、納税者の国民である。そのスポンサーに内容を開示しないことは、民間企業では絶対にありえない。その異常さを認識すべきだろう。

なお、文部科学省が不開示とした情報の一部が、行政事業レビューシートに記録されているのは興味ぶかい。しかも、それによると極めて不自然な出費、異常としか言えない出費が観察できる。次の記事を参照にしてほしい。

【参考記事】 加計事件にゆれる文科省、ウエブサイト制作費として博報堂へ2年で約4000万円、請求書にも重大疑惑