1. NHKの電通・高橋まつりさん報道の裏面、公共放送としての「公正・中立」の看板に要注意

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2017年05月07日 (日曜日)

NHKの電通・高橋まつりさん報道の裏面、公共放送としての「公正・中立」の看板に要注意

TBSテレビ の出身で参議院議員の杉生秀哉氏が、2月7日に日本ジャーナリスト会議などが主催した講演で、NHKについて次のように述べている。

「NHKニュースについては、国会審議もその日の主なテーマが憲法問題であっても、NHKは憲法問題は取りあげずに、どうでもいいニュースをしている。しかも、質問者の音声は放映せず、答弁者のみです。
 安倍首相が余裕しゃくしゃくと答弁しているように編集されています。」

◇「押し紙」問題と電磁波問題とNHK

NHKは国策放送局と言っても過言ではない。国策に反するテーマはほとんど取りあげない。

2、3年前に、筆者は「押し紙」についての資料をNHKに提供しようとして、受け取り(郵送)を拒否されたことがある。送付そのものを拒否されたのである。これは奇妙な対応である。ある問題を報道するかどうかは、資料を精査したうえで判断するのが常識だが、NHKはそれ以前に報道するテーマと報道しないテーマを分類しているのかも知れない。

次に紹介するケースも、やはり報道のテーマ選択に関するエピソードである。筆者は電磁波問題を取材していることもあって、電磁波問題に関した住民運動の関係者との人脈が深い。そのうちのひとりであるAさん(沖縄在住)から、東日本大震災の少し前の時期に、

「NHKが電磁波問題を取りあげてくれることになった」

と、連絡があった。ところがその後、この企画は中止になった。Aさんが理由を問い合わせたところ、東日本大震災の取材で記者が福島へ行ってしまったからというものだった。結局、電磁波問題は取材すら行われていない。

国策として無線通信網を全国に張り巡らせる方向性があるから、それに反する報道はしないということではないだろうか。

◇電通の高橋まつりさんの過労死問題

そのNHKが昨年、電通の高橋まつりさんの過労死問題を大々的に取りあげた。が、電通の長時間労働は今に始まったことではなく、昔から「不夜城」などといわれてきた。他に自殺者も出している。筆者は、「やっと報じたか」という感想を抱いたが、その後、過労死報道も国策と表裏関係にあるのではなないかという話をあちこちで耳にした。

内閣府などの広告費をめぐる経理疑惑事件で、博報堂に批判が集まっているので、電通を叩くことで博報堂を加勢したのではないかとする説である。つまり政治的な配慮のうえで、NHKは電通叩きを断行したのではないかというのだ。

もちろんこれは推論で、真相は不明だが、論理的には整合している。メディア黒書で報じてきたように、1975年ごろから博報堂は、内閣府や財務省、それに警察関係者の天下り先になっている。

この1975年という年は、児玉誉士夫氏の秘書・太刀川恒夫氏が博報堂の持ち株会社である博報堂コンサルタンツの取締役に就任した年である。戦中の「児玉機関」がかたちを変えて、広告業界に進出してきた年ともいえよう。

NHKによる電通叩きで電通の評判が落ちれば、電通のライバルで官僚たちの天下り先になっている博報堂がビジネスの機会をより多く得ることができるのは言うまでもない。たとえば一次的に電通を指名停止にしたJRA(日本中央競馬会)などは、その典型例といえる。

◇世論誘導のNHK、慎重な検証が必要

NHK報道は慎重に検証する必要がある。巧みに世論を誘導しているというのが筆者の見解である。世論誘導の前提になっているのが、公共放送としての「公正・中立」の看板である。が、中味を精査すれば、その欺瞞(ぎまん)が見えてくる。