1. 内閣府の黒塗り請求書問題、「国家予算」を受け取った全新聞社・テレビ局へ質問状送付

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2017年04月24日 (月曜日)

内閣府の黒塗り請求書問題、「国家予算」を受け取った全新聞社・テレビ局へ質問状送付

内閣府が博報堂と契約したプロジェクト「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広報テーマの広報実施業務等」の請求書がほとんど「黒塗り」で開示された件は、メディア黒書で繰り返し報じてきたとおりである。

■黒塗りの請求書

「黒塗り」が原因で、各新聞社や各テレビ局が受け取った広告費、あるいは放送料の金額が分からない。つまり国家予算の使い方が不明瞭になっている問題がある。

しかも、請求書にはインボイス・ナンバーが付番されておらず、会計監査やシステム監査の対象外になっている可能性もあるのだ。個人事業者がインボイス・ナンバーが付番されていない請求書を発行することはあっても、博報堂のような大企業がインボイス・ナンバーのない請求書を発行するのは尋常ではない。その理由も説明されていない。博報堂の監査法人であるあずさ監査法人も取材を拒否している。

この件についてこれまで何度か内閣府と話し合ったが、やはり内閣府の方針は変わらない。黒塗り部分の開示は行わない方針だ。インボイス・ナンバーが付番されていない明確な説明もしていない。

そこで筆者は次の取材戦略を採用することにしたので、読者にお知らせしたい。博報堂を通じて「国家予算」を受け取ったすべての新聞社とテレビ局に対して、「黒塗り」部分の金額を開示するように求めるのである。近々に請求書の実物と質問状、それにプレスリリースを送付する。

回答につてはメディア黒書で随時公開していきたい。

◇国策プロパガンダに高額国家予算のおろかさ

確かに新聞社やテレビ局に自分たちが受け取った「国会予算」を公表する義務はないが、道義的な責任はあるだろう。「国家予算」の元をたどれば、国民の血税であるからだ。その額は、2015年度の場合、博報堂ルートの新聞広告だけで総額20億円を超えている。

筆者の個人的な見解を言えば、「国家予算」が問題の多い国策のプロパガンダに使われるのは問題がある。国策がどのようなものであるかをメディアがジャーナリズムの視点から報道することは自由だが、政府広告の形を取ると完全なプロパガンダ目的になる。たとえばマイナンバー制度に反対している国民も数多くいるわけだから、「税金」からマイナンバー制度のPR費を支出することは問題が多い。しかも、その額は尋常ではない。

最近の国策プロパガンダには次のようなものがある。

・マイナンバー制度のPR
・消費税アップのPR
・詐欺の防止
・一億総活躍社会
・伊勢サミット
・北方領土返還
・戦没者追悼
・国民年金
・福島の「風評被害」
・女性の活躍
・電気の小売全面自由化
・春秋叙勲の候補者としてふさわしい者の推薦

これらのテーマが新聞やテレビでPRされてきた。
しかし、たとえばマイナンバー制度の導入や消費税の税率アップについては、反対意見も多い。国会予算を使って大々的にPRすること自体に大きな問題がある。そのための国家予算が各メディアに流れ込んでいるのだが、その金額を公開しないのは問題があるのではないだろうか。

このような観点から筆者は、「国家予算」を受け取った各メディアに問い合わせることにした。