1. 環境省が開示した博報堂の8億6285万円プロジェクトの見積内訳は黒塗り、国会予算使途の恐るべき不透明性を露呈

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2017年03月17日 (金曜日)

環境省が開示した博報堂の8億6285万円プロジェクトの見積内訳は黒塗り、国会予算使途の恐るべき不透明性を露呈

環境省から驚くほど簡素化された見積書の内訳が開示された。しかし、総見積額10億円を超える金額の使途は不明。国会予算の恐るべき不透明性が露呈した。

発端は、筆者が環境省に対して、2015年度に博報堂が環境省と交わした全ての業務契約に関する書面(契約書、見積書、請求書)を開示するように求めたことである。これに応えて環境省は、5件のプロジェクトの契約書・見積書・請求書を送付してきた。

ところが見積書の内訳が開示されていなかった。たとえば次の書面は、「平成27年度炭素社会づくり推進事業委託業務」と題するプロジェクトの見積書である。見積額は、8億6285万円。金額の内訳が分からない。

■最初に送付された見積書

契約額が高額なので、筆者が内訳も開示するように求めたところ、環境省は「検討する」と回答した。数日後、内訳が送られてきた。期待して封を切った。それが次の書面である。

■見積内訳

これでは内訳を情報開示したことにはなっていない。一体、博報堂がどのような仕事をしたのか全く分からない。このような見積書で湯水のように国家予算が支出されているのだ。

◇書面番号がない見積書と請求書

さらに驚くべきことに、博報堂が環境省に送付した見積書・請求書には、書面番号が付番されていない。これは公式の会計システムに則した経理処理が行なわれていない可能性が示唆する。

通常、見積書は番号を付番して、コンピュータで管理する。そのために請求書を発行する際にも、見積書と共通の番号がプリントアウトされる。それにより見積書と請求書を整合させることで、経理の透明性を確保しているのである。

上場企業と連結主要子会社はシステム監査が義務づけられており、見積書、請求書、納品書を管理するナンバーがつけられて見積書の有効期限を含めて厳密に管理されるのが普通だ。オリンパスや東芝の例にみられる不正会計事件以降は、粉飾決算防止のために特に会計監査が厳しくなっている。

プリント用紙に企業のロゴが入っていることは言うまでもない。

こうして見積から請求、納品までのステージを管理していくのが民間企業の間では常識になっている。

ところが環境省から開示された博報堂の見積書・請求書には番号が付番されていない。納品書があるのかどうかも分からない。外見から判断するとワードで作成されている。もちろんロゴも欠落している。

環境省へ流れた10億円を超える国家予算の使途を徹底検証する必要があるのではないか?なにしろ2007年ごろには、3年間で約90億円が環境省から博報堂へ支払われている事実があるのだから。

【参考記事】内閣府だけではない、環境省からも博報堂へ3年で約90億円の国家予算を注入、調査対象が文科省、総務省、環境省へ拡大