1. 環境省が博報堂へ支払った「12億円プロジェクト」の見積明細の開示を要求、契約額を途中で1億円上積み

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2017年03月08日 (水曜日)

環境省が博報堂へ支払った「12億円プロジェクト」の見積明細の開示を要求、契約額を途中で1億円上積み

環境省から博報堂へクールビスのプロジェクトなどで支払われた約12億の明細を公開するように、筆者は環境省に申し入れた。環境省は、「検討する」と回答した。

筆者は昨年、環境省に対して博報堂から環境省へ送付されたすべての契約書、見積書、それに請求書を情報開示するように手続を行った。

これに対して環境省は、5件のプロジェクトに関連した契約書・見積書・請求書を提出した。このうちクールビスのプロジェクトに関して、成果物を開示させるなどして検証作業を行った。その中で、成果物と請求額に整合性がない疑いが浮上した。少なくとも筆者は、そんな印象を受けた。

その理由のひとつは、成果物を示した実施報告書の一部に記述のパクリがあったからだ。複数ある異なるプロジェクトの実施報告書の記述に、まったく同じ記述が見受けられるのだ。それぞれのプロジェクトの担当者が、自分の言葉で書いた文章でないことは明らかだ。

以下に示すように、2つのページの赤枠で囲んだ部分以外が、パクリの箇所である。このページでは、4分の3がパクリである。

■パクリ箇所の実物(赤枠以外が全部パクリ)

こうした事情から、筆者は見積もり明細を調べる必要を感じ、(注:明細は開示されなかった)環境省に申し入れたのである。見積もり明細を開示しなかった理由について、環境省は次のように述べている。

◇内閣府官僚、1970年代から博報堂へ天下り

「営業努力によるところが多いので開示しなかった」

この説明だけでは達意に欠け、よく分からない。「営業努力しなかったから、価格が高くなり、恥ずかしくて公開できない」ということなのか、それとも「見積もりは博報堂の営業上の秘密なので公開できない」ということなのか、真意が分からない。国会予算の明細を秘密にするのは誤りだ。

ちなみにクールビスのプロジェクトのうち、「平成27年度低炭素社会づくり推進事業委託業務」は、請求明細の徹底検証が必要だ。と、いうのもプロジェクトの途中で、契約価格が変更されているからだ。

最初に設定された価格は、約7億6600万円だった。契約日は「平成27年」の4月9日である。博報堂側の契約者は、戸田裕一社長。

ところがこの契約は、同年の6月12日に、約8億6300万円に変更になっている。約一億円の上積みはなにかを検証する必要がある。

■1億円上積みの裏付け資料

メディア黒書で繰り返し報じてきたように、内閣府や省庁から莫大な国家予算が湯水のように博報堂に注ぎ込まれている。しかも、このような傾向は今に始まったわけではない。過去には、3年で約90億円が環境省から博報堂へ支払われた事実もある。

天下りも多い。これについても今に始まったことではない。環境省については調査中だが、内閣府と警察関係者については、少なくとも1970年代の半ばから行われてきたことが、各種の人事欄に記録されている。