1. 内閣委員会の議員58名に博報堂関連の資料を提供、メディア企業に巨額な国家予算注入の恐るべきシステムの裏付け

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2017年03月02日 (木曜日)

内閣委員会の議員58名に博報堂関連の資料を提供、メディア企業に巨額な国家予算注入の恐るべきシステムの裏付け

博報堂を通じて巨額の国家予算をメディア企業へ流し込むカラクリを暴いた『週刊金曜日』(2月24日)の記事、「裁量は内閣府次第、政府広報費の杜撰な使い道」(黒薮執筆)のコピーを、1日、内閣委員会の国会議員58名に送付した。

日本の場合、欧米に比べて議員定数が少ないので、議員ひとりあたりの仕事の量が多く、積極的に国会質問を依頼しない限り、大問題が放置されてしまう可能性が高い。こうした配慮から、今回の記事送付に至った。

書き手の側は単に記事を執筆するだけではなく、資料の配布、講演、訴訟など、PRの舞台を自分で準備する必要がある。

記事に添付した手紙は次の通りである。

拝啓 
  時下ますますご隆昌のことと存じます。
 わたしはフリーランスのジャーナリストとして、メディアの問題を中心に取材・執筆している者です。このたび『週刊金曜日』(2月24日号)に内閣府の資金疑惑に関する記事を執筆しましたので、そのコピーを同封させていただきました。
  記事のタイトルは、「裁量は内閣府次第、政府広報費の杜撰な使い道」です。国家予算が見積書もなく、内閣府の判断ひとつで湯水にように広告代理店・博報堂へ支払われている実態を報告した内容です。

 特に問題なのは、文中にあります俗に「構想費」と呼ばれる知的活動に対する報酬です。2012年度が3,980万円だったものが、2015年には6,700万円になっています。関係者を取材した限りでは、何に使われていたのか、具体的な使途がほとんど分かりません。

 なお、博報堂に関しては、他の省庁との取り引きも調査しました。その結果、たとえば国勢調査の告知(政府の新聞広告)が、契約どおりに行われていないことも判明しています。2015年度の調査の場合、契約書によると延べ25件の政府広告を制作・配信することになっていましたが、このうち13件が「間引」かれ、12件しか掲載されていません。それにもかかわらず料金は、全額が徴収されています。

 また、文部科学省では、たった9ページのウエブサイトの制作に対して、2,100万円が博報堂へ支払われています。その前年にも、2本のウエブサイトが制作されています。

環境省のクールビスにも莫大な資金が投じられていますが、わたしが情報公開請求で開示させた「成果物」は、杜撰なものでした。

 これらを立証する資料は、すべて黒薮が保管しております。もし、国会で追及していただけるようであれば、資料を提供します。日本は国会議員の総数が欧米に比べ少ないためにご多忙なこととは存じますが、よろしくお願いいたします。

◇マスコミ向け国家予算の激増

「押し紙」問題についても、今後、同様のアクションが必要だろう。

広告代理店や新聞・テレビの問題は、巨大メディアが相手なので、国会議員も慎重になる。それでも、博報堂に関連した国会質問は、過去に民主党と共産党が繰り返している。「押し紙」問題の国会での追及も、1980年代に、共産党、公明党、社会党の各党が行った。

ちなみにマスコミに対する国会予算の支出が急激に増えはじめたのは、第2次安倍政権になってからである。行政事業レジューシートによると内閣府から支出された国策PRのための予算は、次のようになっている。

2012年度(野田政権):38億8300万円
2013年度(安倍政権):47億4700万円
2014年度(安倍政権):58億3700万円
2015年度(安倍政権):60億8600万円

こうした資金により、日本の新聞ジャーナリズムは骨抜きにされ、共謀罪のようなとんでもない法律が閣議決定されそうになっているのである。