1. 博報堂事件、他社の公式文書を勝手にPDF化、問われる職能

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2016年08月16日 (火曜日)

博報堂事件、他社の公式文書を勝手にPDF化、問われる職能

  博報堂の正社員や非正規社員の職能が問われている。

たとえば今年の3月、博報堂が管理を請け負っていた「いわて県民情報交流センター」(盛岡市)で、入場者を水増しして報告していた事実が発覚している。その方法は子どもじみた幼稚なもので、アルバイトに入場者カウンターを何度も通過させるというものだった。(朝日新聞)

また、昨年、岩手県大槌町から津波記録誌の編集を請け負っていたが、「怠慢」編集を理由に契約を解除されている。記述の一部を別の記録誌からぱくっていたことも明るみにでている。(産経新聞)

さらに過去には、2009年に発覚した障害者団体向けの郵便料金の割引制度を悪用した事件で逮捕者を出している。当時、アスカに対しても、この割引制度を悪用するように話を持ちかけていた。

博報堂が上場企業(東証)だから完璧な業務を遂行して当然とまでは言わないにしても、上場企業として問題が多い。ただ、社員たちに悪意があるのかどうかは分からない。普通にやっている業務が、第3者の目には、異様に写るだけのことかも知れない。

◇他社の公式文書を勝手意にPDF化

次に紹介するのは、博報堂と係争中のアスカコーポレーションを取材して分かった職能に関するエピソードである。公式文書類の意味をよく理解していないことを示すエピソードである。

2013年9月、アスカの経理担当者がCMの放送確認書を点検していたところ、沖縄テレビのものが欠落していることに気づいた。放送確認書は、ひと月分をまとめて封筒に入れ、福岡に常駐しているスタッフが届けるシステムになっていた。その封筒を確認したところ、沖縄テレビのものがなかったのだ。

そこでメールで博報堂に問い合わせた。すると次のような答えが返ってきた。

 控えがございましたので取り急ぎPDFデータをお送りさせて頂きます

さらにPDF送付後の対処としては、

 改めて、武井・渡辺(仮名)より出力をお届けに伺いますので宜しくお願い致します。

武井・渡辺というのは、アスカで業務を行っている博報堂のスタッフである。そのスタッフがPDFをプリントアウトしたものを届けるというのだ。

本来、届けなければならないのは、放送確認書の原本である。また、他社の公式文書を勝手にPDF化したり、それを出力することも普通はやらない。やられた側としては、たまったものではない。

悪意がなくても、普通にやっていることが第三者の目には異様に写る。

◇沖縄テレビでCMは本当に放送されたのか?

ちなみに放送確認書の原本がアスカに届いていなということは、CMが放送されていない可能性もある。この点について、現在、アスカは調査中だという。

アスカにしてみれば、チャンネルMnetの放送確認書が偽造されていた疑惑を掴んでいるだけに、沖縄テレビの放送確認書の原本を手に入れるまでは、納得できないだろう。技術的に放送確認書の偽造は可能なのだ。

【参考記事】博報堂事件、放送確認書そのものを何者かが偽装した疑い、確認書の発行日とCM放送日に矛盾