1. 電通・東急エイジェンシーと博報堂のPR業務の比較、CPOの違いが顕著に

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2016年08月13日 (土曜日)

電通・東急エイジェンシーと博報堂のPR業務の比較、CPOの違いが顕著に

  10桁CMコードは、CMの「間引き」を防止する目的で、1999年12月から導入された。このあたりの事情について、当時の『放送ジャーナル』は、次のように報じている。

テレビCM業務の合理化と放送事故の防止を目指した、放送広告業界統一のCMコード【10桁CMコード】の運用が、昨年12月1日放送分のCM素材から正式にスタートした。

 97年、99年に発覚したCM不正取引問題を契機に、日本広告主協会(主協)が民放連や日本工区業協会(業協)に求めていた、再発防止策としての「電波重畳によるCM放送確認システム」が10桁CMコードを使用することで一本化された。

 99年2月、主協、業協、民放連、全日本シーエム放送連盟、日本テレビコマーシャル制作社連盟のCM関係5団体で構成する「共通コードプロジェクト会議」(2000年3月に日本ポストプロダクション協会が参加し6団体に)が発足。1年余りの検討の後、最終合意が昨年9月に成立し、広告主コード(4桁)と素材コード(6桁)を組み合わせ10桁のコード体系とすることが決まった。

そして同11月、業協内に「共通コード管理センター」(Code Control Center:略称CCC)が開設され、10桁CMコードの完全実施を進めていくことになったわけだ。

 同センターは業協と民放連が共同設立した任意団体で、主協・業協・民放連の3団体の合意のもと、10桁CMコードのうち、4桁の『広告主コード』の発番、管理を行い、広告主・広告会社・CM制作会社・放送会社におけるCM業務の合理的遂行に寄与することを目的としている。さらに、この「10桁コード」の各業界における普及促進活動を推進していくことになる。

◇電通と東急は衛星放送でもCMコードを使用

筆者が10桁CMコードの運用状況を調べたところ、既に10桁CMコードは定着していて、もやはCMの「間引き」はあり得ないというのが、放送関係者の共通した認識だった。唯一の例外が博報堂系の衛星放送局・スーパーネットワークだった。(他の衛星放送局は現在取材中)10桁CMコードを使わない理由を尋ねると、「民放連に加盟していないから」というものだった。

そこでスーパーネットワークが所属する衛星放送協会に問い合わせると、10桁CMコードの使用を推奨しているとのことだった。

さらに大手の広告代理店、電通、ADK、それに東急エイジェンシーに衛星放送における10桁CMコードの使用状況を問い合わせてみた。結果は、いずれの代理店も使っていると回答している。

元広告代理店の社員で塾講師のA氏も、「10桁CMコードは、広告主を保護するためのものですから、使うのが当たり前」と話している。その意味では、電通、ADK、東急エイジェンシーは、広告代理店としては、オーソドックスな業務を展開していることになる。博報堂は、業界の中では例外的な存在といえよう。

◇電通・東急と博報堂の比較

博報堂と係争中のアスカは、もともと電通と東急にPR業務を委託していた。博報堂はその後に参入して、電通と東急を撤退させたのである。

電通・東急がPR業務を行っていた時代と、博報堂が独占的にPR業務を独占した時代を比較すると興味深い事実が浮上する。それはCPOの違いである。

CPOとは、新規に商品購入する1人の顧客を獲得するために費やした販促費用のことである。たとえば新聞1部を拡販するためには、セールス員の人件費を含めると、3万円にも4万円にもなる。

博報堂が業務を独占した時代のCPOは次の通りである。

2009年   220,876円
2010年   240,643円
2011年   220,019円
2012年   432,065円
2013年   922,760円
2014年 1,139,010円
2015年 1,538,897円

一方、博報堂がPR業務を独占する前の時期はどうだったのだろうか。この点についてアスカに問い合わせてみた。アスカは、正確な数字は現段階では公表しないとしながらも、 「電通と東急の時代は7万円程度だった」と話している。

電通と東急の業務内容そのものと職能を客観的に見た場合、博報堂とは比較にならない。少なくともアスカにおけるPR活動を例に両者を比較すると、そういう見方が出来る。

ただ、公共機関に対する広告業界全体の請求規模については、本当に適正なのかを今後検証してみる必要がある。