1. 国連プライバシー権に関する特別報告者 ・ジョセフ・ケナタッチ氏が共謀罪法案に懸念、安倍首相に書簡を送付

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2017年05月20日 (土曜日)

国連プライバシー権に関する特別報告者 ・ジョセフ・ケナタッチ氏が共謀罪法案に懸念、安倍首相に書簡を送付

自民、公明、日本維新の会の3党は、19日、衆院法務委員会で共謀罪法案を強行採決した。これを受けて国連プライバシー権に関する特別報告者のジョセフ・ケナタッチ氏が、5月18日、懸念を示す書簡を安倍首相に送付した。共謀罪法案はプライバシーや表現の自由を制約する恐れがあるという内容である。

日本人権協会は、この書簡を次のように要約している。

【書簡の要約】

国連プライバシー権に関する特別報告者 ジョセフ・ケナタッチ氏が、5月
18日、共謀罪(テロ等準備罪)に関する法案はプライバシーや表現の自由
を制約するおそれがあると懸念を示す書簡を安倍首相宛てに送付しました。

書簡では、法案の「計画」や「準備行為」の文言が抽象的であり恣意的な
適用のおそれがあること、対象となる犯罪が幅広く、テロリズムや組織犯
罪と無関係のものを含んでいることを指摘し、いかなる行為が処罰の対象
となるかが不明確であり刑罰法規の明確性の原則に照らして問題があると
しています。

さらに、プライバシーを守るための仕組みが欠けているとして、次の5つ
の懸念事項を挙げています。

1 創設される共謀罪を立証するためには監視を強めることが必要となる
が、プライバシーを守るための適切な仕組みを設けることは想定されてい
ない。

2 監視活動に対する令状主義の強化も予定されていないようである。

3 ナショナル・セキュリティのために行われる監視活動を事前に許可す
るための独立した機関を設置することが想定されていない。

4 法執行機関や諜報機関の活動がプライバシーを不当に制約しないこと
の監督について懸念がある。例えば、警察がGPS捜査や電子機器の使用の
モニタリングをするために裁判所の許可を求める際の司法の監督の質につ
いて懸念がある。

5 特に日本では、裁判所が令状発付請求を認める件数が圧倒的に多いと
のことであり、新しい法案が、警察が情報収集のために令状を得る機会を
広げることにより、プライバシーに与える影響を懸念する。

■原文